ArtTipsの環境ファイルをより安全に
こんばんは、最近使用するアカウントやパスワードがいろいろと増えてきて、忘れっぽい身としてはとても困り気味な高橋です。
そんな私はパスワードを暗記しておくことなんか当然できませんので、ArtTipsというWindows用のソフトウェアを使って管理しています。ArtTipsは、
・ID/PASSWORD入力支援機能
・アプリケーションランチャー
・クリップボード履歴
・登録テキスト貼り付け機能
・スクリーンキャプチャー
などなど、これひとつに便利な機能がぎゅっと詰まった素敵なツールです。
また、Webアプリの開発においても、管理画面へログインしたり、フォームへ特定のテキストを貼り付けたり、画面キャプチャを撮ったりといったことをさっと実行できるため、私にとってWindows環境ではなくてはならないツールのひとつです。
なお、パスワード管理およびログイン入力支援機能のみで十分な方には、パスワード管理ツール ID Managerがオススメです。こちらはツリー形式で管理がしやすく、設定ファイルはBlowfishという強力な暗号化アルゴリズムを使用して保存されるため、設定ファイルがPCから流出してもとりあえずは安心です。
では、ArtTipsのほうはといいますと、作者の方の掲示板に投稿されているこの記事によると、暗号化はしていても、それほど強固なものではないようです。
ファイルシステム全体が暗号化されていれば、特に気にする必要はないのでしょうが、私のマシンは現状そうはなっていませんし、暗号化ファイルシステムにして再構築するのも大変です。
そのため、今回はMOUNTVOLというWindows XP標準で使えるボリュームマウントコマンドと、TrueCryptという暗号化した仮想ドライブを作成できるソフトウ ェアとを組み合わせて、ArtTipsの環境ファイルのセキュリティを強化してみようと思います。
※Windows 2000にもMOUNTVOLコマンドはありますが、今回の方法はWindows XPでないとうまくいきませんでした。また、Vistaは未確認です。
1. ArtTipsのダウンロード
まずは
http://www2s.biglobe.ne.jp/~sahmaro/Download.htm
から最新版の7.10(2007年5月11日現在)をダウンロードします。
2. ArtTipsのインストール
ダウンロードしたArtTip71.exeを実行して、特に問題がなければデフォルトのままインストールします。
インストールが完了すると、今すぐArtTipsを起動するかの確認ダイアログが表示されますが、ここは「いいえ」を選択します。
3. ArtTipsの実行
ArtTipsは、最初に起動したユーザーが
C:\Program Files\ArtTips\
の直下を環境ファイル置き場として利用し、二人目以降のユーザーは、
C:\Program Files\ArtTips\2nd_user
C:\Program Files\ArtTips\3rd_user
C:\Program Files\ArtTips\……
といったようにユーザー毎のディレクトリが作成され、そこが環境ファイル置き場になります。
今回はこのユーザーディレクトリを 暗号化して使用しますので、一旦AdministratorなどArtTipsを使用しない別のユーザーでログインし、
C:\Program Files\ArtTips\ArtTips.exe
を実行し、自動起動するかの確認ダイアログには「いいえ」を選択します。
次に実際に使用するユーザーでログインして
C:\Program Files\ArtTips\ArtTips.exe
を実行し、サブフォルダ作成の確認ダイアログには「はい」を選択します。
後は設定情報のコピーはどちらでも好きなほうを選ぶと、C:\Program Files\ArtTipsの下にログインユーザー名のディレクトリができ、環境ファイルが作成されます。
最後にArtTipsのトレイアイコンをクリックし、「Exit ArtTips」を選択して終了させます。
5. TrueCryptのダウンロード
まず、最新版の4.3a(2007年5月11日現在)をダウンロードします。
http://www.truecrypt.org/downloads.php
から本体のtruecrypt-4.3a.zipを
http://www.truecrypt.org/localizations.php
から日本語の言語ファイルであるlangpack-ja-1.0.0-for-truecrypt-4.3a.zipをダウンロードします。
6. TrueCryptのインストール
本体のzipを展開し、
truecrypt-4.3a\TrueCrypt Setup.exe
を実行して、特に問題がなければデフォルトのままインストールします。
次に言語ファイルのzipを展開して、
langpack-ja-1.0.0-for-truecrypt-4.3a\Language.ja.xml
をTrueCryptのインストール先である
C:\Program Files\TrueCrypt
へコピーします。
7. 暗号化ファイルの作成
スタートメニューなどからTrueCryptを実行して、暗号化ファイルを作成します。
・ボリュームの作成
「標準TrueCryptボリュームの作成 」のまま「次へ」
・ボリュームの位置
「ファイルの選択」を押下し、
C:\Program Files\ArtTips\your_account.tc
を指定して「次へ」
※your_accountはログインユーザー名になります
・暗号化オプション
デフォルトのまま「次へ」
・ボリュームのサイズ
好きなサイズでいいのですが、今回は8MBで「次へ」
・ボリュームのパスワード
20文字以上のパスワードと確認入力を入力して「次へ」
・ボリュームのフォーマット
「フォーマット」を押下して、成功のダイアログが出たら「OK」
最後に「終了」を押下します。
8. 暗号化ファイルのマウントと設定ファイルの移動
作 成した
C:\Program Files\ArtTips\your_account.tc
をダブルクリックして、TrueCryptを起動します。
次にドライブから「Z:」を選択して「マウント」を押下し、ダイアログにパスワードを入力して「OK」を押下します。
これでZドライブとしてアクセスできますので、
C:\Program Files\ArtTips\your_account
の中のファイルおよびフォルダを全てZドライブへ移動し、
C:\Program Files\ArtTips\your_account
は空っぽにしてください。
9. 自動起動の設定
スタートメニューから「ファイル名を指定して実行」を選択して、
cmd
と入力してエンターキーを押下します。
次にマウントしたZドライブのボリューム名を調べます。
C:\> mountvol z:\ /l
\\?\Volume{xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx}\
この表示された文字列がMOUNTVOLコマンドに渡すボリューム名になります。
後は以下のようなバッチファイルを作成して、スタートアップへショートカットを登録します。
"C:\Program Files\TrueCrypt\TrueCrypt.exe" /a /q /l z: /v "C:\Program Files\ArtTips\your_account.tc"
mountvol "C:\Program Files\ArtTips\your_account" \\?\Volume{xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx}\
"C:\Program Files\ArtTips\ArtTips.exe"
exit
あとは再起動を行ってログインし、
・TrueCryptのパスワード入力ダイアログが表示されること
・正しいパスワードの入力でZドライブがマウント されること
・ArtTipsが起動すること
・C:\Program Files\ArtTips\your_accountにアクセスすると、Zドライブと同じファイルが見えること
の三点を確認すれば、無事完了です。
以上、これでより安全にArtTipsを使用できるので、安心してパスワードを忘れられます。(^-^)v