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手段としてのUIとユーザーイリュージョン

エンジニアの竹沢です。入社してからスマートフォンのアプリ開発に携わる機会がありました。

アプリ開発ではUI(User Interface)の設計に時間がかけられていることを感じました。

UIについては疑問に思っていることがありました。

良いUIって何?

ということです。

使いやすいUI、シンプルなUI

などの言葉を目にしたことはありますが、「使いやすい」は個人の主観によるものですし、「シンプル」にも限度があるのではないかと感じていました。

UIについて色々と調べたところ、「ユーザーイリュージョン」という概念を初めて知ったので紹介します。

User Illusion(ユーザーイリュージョン)

User Illusion(ユーザーイリュージョン)とは、コンピュータ科学者のAlan Kayが書いた雑誌記事1)に記述されている概念です。

引用すると以下になります。

私たちは幼少期に、粘土の塊を両手を突っ込むと、あらゆる形に変形させられることを発見するが、コンピュータで同様の発見をする人はほとんどいない(中略)私たちは、"ユーザーインターフェース"を通して、コンピュータの粘土に触れることができる。(中略)かつてユーザーインターフェースはシステム設計でもっとも重要ではないものだったが、今は最重要の部分となった。それは、初心者に対しても、プロに対しても、その人に知覚できるものがその人のコンピュータだからだ。システムの動きと、次に何をするべきかを説明する(そして推測する)ために誰もが築く単純化した物語を、ゼロックス社パロ・アルト研究所の同僚たちと私は、「ユーザーイリュージョン」と呼んだ。イリュージョンを増進するために開発された原則やデバイスは今や当たり前になっている。(後略)

Alan Kay, Sci. Am. 251, 52 (1984)

つまり、「ユーザーイリュージョンを引き起こす」目的に対して、「ユーザーインターフェース」が手段になって論じられています2)

具体例を考えてみました。例えば、次のような一覧画面のTodoアプリがあったとします。

「テスト1」と書かれた行をタップすると、どうなると思いますか?

私は「編集画面に移動するだろう」と推測しました。

一覧画面を見て「テスト1をタップすれば、編集画面に移るだろう」と何となく推測しています。このように画面から操作方法を推測させています。

ただし、この例は、人間がここ15年ほどでスマートフォンに慣れた結果であり、全く新しいアプリでユーザーイリュージョンを引き起こすのとは少し違うとも感じました。

感想

「良いユーザーインターフェースを作ること」を目的として捉えていたことが、これまで感じていた疑問の原因とわかりました。ユーザーイリュージョンを引き起こすことが目的であり、それを実現するユーザーインターフェースは手段に過ぎないという考え方が腑に落ちました。

また、「シンプルなUIが良い」というのも「ユーザーイリュージョンが引き起こされている」前提の話であれば理解できました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

References

1) Alan Kay, Sci. Am. 251, 52 (1984)

https://www.jstor.org/stable/24920344?refreqid=excelsior%3A44de533f4b6f6616b14b2111f7560e82

2) 君はインターフェイスではない方のUIを知っているか - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

https://wirelesswire.jp/2019/06/71052/

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