システム構築以外に手を出せないジレンマ
僕たちの収益のおよそ半分は、システム構築と呼ばれる、カスタムメイドのWebアプリケーション開発です。そして日本の情報処理産業においても、売上高全体のうち非常に高いシェアが、このシステム構築です。
システム構築は、お客さんのニーズに合わせて1からソフトウェアを作るので、否が応でもコストがかかります。部品を使い回しても、1人が開発できる量は限られているので、お客さんもそのことを納得の上、システムへの投資を行います。
海外に目をやると、ソフトウェアメーカーの多くは、パッケージ販売と関連サービスで収益をあげていることに気づきます。彼らはまず基本パッケージを作り、カスタマイズの要望を受けた際は、そのパッケージのカスタマイズを行うか、お客さんにパッケージにあわせたビジネスをアドバイスします。
前置きが長くなりましたが、この2つの違いは潜在利益率(?)となって現れます。システム構築の場合、どんなに頑張っても人月ベースですので、限りがあります。対しパッケージソフトの場合、粗利率は99%にまで上る可能性があります。
しかし、パッケージソフトウェアでは初期開発コスト分を取り戻す所まで、まずはリスクをとらねばなりません。売れなければ初期コストがパーになってしまうので、システム構築より難しい事業だと思います。(ちなみにWebサービス型のソフトウェアとして成功するのは、販売する本数もさらに増やさないといけない分、もっと難しいと思います。)
パッケージソフトが当たればいいのですが、ダメだった場合は会社がつぶれてしまいます。そこで僕は、安定的なシステム構築でお金を貯め、その資金でパッケージを開発する、いわばハイブリッド型を目指していました。しかしここにジレンマが生じます。結論からすると、パッケージソフトを作ろうとしても、システム構築を優先してしまうのです。これには以下の要因があると思います。