Onsen UIが生まれたきっかけ

本記事はOnsen UI Advent Calendar 2016のエントリーです。Onsen UIが生まれたきっかけについて、簡単に紹介したいと思います。

当時PhoneGapといわれていたCordovaに足りなかったもの

2009年頃からWebViewを用いた、今でいうHTML5ハイブリッドアプリ開発をしていた訳ですが、当時のデバイスはパフォーマンスも低く、ブラウザーの機能が貧弱だったことも相まって、満足のいくアプリをHTML5「だけ」で作ることがほぼ不可能と言ってもいい状況でした。

思い返すとiOS 4やAndroid 1.6の時代です。まだposition:fixedも使えず、CSSトランジションも怪しい動きをしていました。

一方で、コンテンツをHTML5で記述することのメリットは多く、アプリのマルチプラットフォーム対応や、サーバーからの動的配信で内容をアップデートすることができるなど、この分野の可能性を感じていました。

それがPhoneGap/Cordova/Monacaにつながっていくわけですが、とはいえUIWebViewだけでは、iOSやAndroidのネイティブUIにかなう表現ができなかったのは事実です。

そこでネイティブUIフレームワーク

そこで2010年からMonacaを開発するに当たり、どのようにハイブリッドアプリでUI部分でブレークスルーを実現するかが特に大きな課題だと考えていました。その結果、私たちのチームが開発したのは「ネイティブUIとUIWebViewを組み合わせる」というアプローチです。

具体的には、コンテンツの中身はUIWebViewで記述しつつも、ナビゲーターやタブといったネイティブなトランジションが圧倒的に有利な部分はネイティブで描画する、という仕組みでした。

PhoneGapの拡張エンジンとして、オープンソースでリリースしました(メンテナンスはしていませんが、いまでも公開は続けています)。

このフレームワークでは、複数ページをスムーズに遷移するため、マルチWebView構成になっていました。ようするに、次のページに遷移した場合には別のWebViewが作られ、ページスタックが作られます。

ネイティブUIフレームワークの課題からOnsen UIへ

ただしこの仕組みには一つ大きな問題がありました。それは、WebViewが複数に分かれるため、JavaScriptでスコープを管理するのが大変難しくなったということでした。新しいページが全く別のJavaScriptインスタンスとして表示されるため、同じアプリであるにもかかわらず、ページ間でリソースを共有することが難しかったのです。

また、JSON形式でUI定義を記述できる仕組みとしていましたが、その結果デザインのカスタマイズに弱く、多様な表現をしたいアプリにとって制約になってしまうことも問題でした。

一方、iOS 7やAndroid 4が登場しフラットデザインが主流になるなか、WebViewでフルにUIを実装することの現実味が帯びてきました。そこで、社内で議論を行った末、これまで作っていたネイティブUIフレームワークを捨て、Onsen UIに移行するという決断を行いました。

これからのOnsen UI

最初はAngular 1のディレクティブ機能を使って実装したOnsen UIですが、当初は日本語の文献も全くなく、Angularは難しすぎるのではないか?という危惧もありました。しかし一方で、Angular以上にうまく部品をコンポーネント化できる仕組みがなく、Angularを選定したという経緯があります。

昨今ではCustom Elementsも安定したことから、Onsen UI 2.0よりAngularへの依存をなくし、ピュアなWeb Componentsフレームワークとなりました。そのメリットを生かし、Angular 2やReactへの対応とともに、Vue 2といったメジャーなフレームワークのサポートを進めていきたいと考えています。

ぜひ進化するOnsen UIにご期待ください。そして、日本発の世界的フレームワークの挑戦に向けて、GitHubのスターで応援ください!

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